40年以上培ってきた『目利き力』×地域とのタッグで、
伝統的な日本文化や地域の魅力を編集・発信する!

1976年に誕生したBEAMSは、創業以来アパレルはもちろんのこと、インテリア、雑貨、家具など、ライフスタイル全般を提案するセレクトショップとして日本中に多大な影響を与え続けています。そんなBEAMSが、これまで培ってきた『目利き力』を活かして日本の「モノ」や「コト」の魅力を世界に発信するべく2016年にスタートしたのがBEAMS JAPAN。そしてBEAMS JAPANから発展し、国内の名所・景勝地など魅力ある地域で、地元事業者とタッグを組みながら土産物開発や店舗運営を行う地域共創型の出店プロジェクトが、今回の主役である<BEAMS JAPAN GATE STORE>です。 日本が持つ地域の魅力は、BEAMSというフィルターを通してどのように生まれ変わったのか? 外国人の目にはどのように映っているのか? あなたがまだ知らない日本のモノ・コトの魅力を発見できるかも知れません。
日本の銘品や文化を編集して紹介するBEAMS JAPANから誕生した
<BEAMS JAPAN GATE STORE>プロジェクトとは。
2016年、40周年を迎えたBEAMSがセレクトショップとして培ってきた『目利き力』を活かし、BEAMSを取り巻くコミュニティと共に日本の銘品や文化を編集して紹介する事業としてBEAMS JAPANが立ち上げられました。「匠からポップカルチャーまで日本の魅力を国内外に発信する」というコンセプトで開発された数々の商品が、新宿のストアを中心として販売されています。
しかし、「当時の情報発信はあくまで首都圏が中心で、地域からの発信がほとんど無かった」と語るのは、<BEAMS JAPAN GATE STORE>の立ち上げから現在まで、プロジェクトを束ねている責任者の鈴木さんです。そもそものスタートは2021年のコロナ禍でのこと。当時はインバウンドもほとんどゼロで、外出する人も少ない状況でした。それを逆手にとってチャンスに変えるべく、地域の魅力を地元から発信するためのポップアップストア(期間限定店舗)を企画しました。
場所は日本三景の一つである広島県の宮島(厳島)の桟橋から徒歩15分のところにある、老舗旅館「岩惣」の桜別館。「その地域と縁があり、地域の魅力を知っている「ビームス 広島」のスタッフがいたので、一緒に取り組むことにしたんです。店舗に行ってみると、観光で訪れたお客様がすっかり心を開いて楽しそうにスタッフと宮島について話している姿が、とても印象的でしたね」。宮島から直接魅力を発信するというこのポップアップストアは大好評を得て、その後2021年~2022年にかけてポップアップストアを伊勢、西本願寺、長野に出店していきます。そして2022年夏から本格的な展開を行っていくことに。
「いくつかのポップアップストアを経験して、気づくことがとても多かったんです。日本には良いモノがたくさんあることを実感できましたし、その地域にしかない魅力を伝えることができれば、多くの日本人や外国人の方にも喜んでもらえます。そして何より大きな収穫は、地元の魅力を発信したい!という熱意を持った人たちに出会えたこと。それが、<BEAMS JAPAN GATE STORE>を展開していく上での大きなカギになると思いました」。
お土産物を売るアイテムショップではなく、魅力をとことん伝える観光案内所。
地域を知る店舗スタッフが“地域のストーリーテラー”になる。
<BEAMS JAPAN GATE STORE>プロジェクトの常設一号店となったのは、縁結び・福の神として名高い出雲大社へ続く表参道・神門通りにオープンした「ビームス ジャパン 出雲」。これを皮切りに、世界遺産の日光東照宮の表参道にオープンした「ビームス ジャパン 日光」。最初のポップアップストアを経て常設店となった「ビームス ジャパン 宮島」。60周年を迎える神戸のランドマーク神戸ポートタワー2Fに新規出店した「ビームス ジャパン 神戸」。1400年の歴史を持ち、年間約600万人の観光客が訪れる善光寺の境内に出店した「ビームス ジャパン 善光寺」。日本海に面した京都北部の国指定重要文化財の「舞鶴赤れんがパーク」など海軍ゆかりのスポットがあるエリアに出店した「ビームス ジャパン 舞鶴」の計6店舗(2025年3月時点)を展開しています。
他には無い、全く新しいコンセプトの地域共創型店舗として順調に成長を続ける<BEAMS JAPAN GATE STORE>。BEAMSがこれまでに培ってきた『取り扱い商品の背景をとことん理解しようとする組織文化』と、商品の仕入れや選定に関する『目利き力』が存分に発揮されていることは間違いありません。加えて、鈴木さんがプロジェクト当初からこだわり続ける多くのノウハウと想いも詰め込まれています。まず店舗で働くスタッフは地元に縁のある人を採用。地元が好きだからこそ、商品だけでなく、地域の名所や知る人ぞ知る観光情報といった魅力を伝えてもらうことが出来ると考えたのです。
「僕が目指しているのは、単にお土産物を売るアイテムショップではなく、言わば観光案内所。店舗スタッフが“地域のストーリーテラー”になって、地域にまつわる情報や魅力をどんどん発信してほしい。地域のことを少しでも知ってもらう、伝わるまでやる。その点は妥協したくありません。魅力が伝われば、結果はついてくると考えています」。
実際に「ビームス ジャパン 日光」で働く高林さんは、観光客として日光を訪れて以来、日光に心を奪われ、日光の魅力を発信していく仕事がしたいという願いを実現しました。日光の店舗はアジア、ヨーロッパ、アメリカからの外国人観光客が多く、観光スケジュールや過ごし方をお聞きして、日光周辺の情報を積極的に伝えているとのこと。「日光の隣の鹿沼市のきびがら細工は、日本一の箒(ほうき)と言われる鹿沼箒の端材から作られる十二支の動物を象った郷土玩具。御爺様の後を受け継いだ女性が一人で作られています。これがサスティナブルかつファッショナブルだと、外国のお客様にはとても人気です。また、日光の御神木から作られる製品も高価なものですが、背景のストーリーを説明すると多くの方が購入されますね。その7割以上は外国のお客様です」。
接客については、決まった型にはめず、スタッフのパーソナリティを大切にすることが、鈴木さん流(のマネジメント)。「その人なりの方法で、商品だけでなく、その地域の魅力も『伝える』ではなく『伝わる』ことに努める。その積み重ねが、その地域の魅力を大きくしていく道に繋がっていると信じています」。
熱意を持つオーナー。地元コミュニティとのつながり。
地域が一体となって、魅力を発信していく。
<BEAMS JAPAN GATE STORE>はBEAMSが直接運営するのではなく、地元の魅力を発信したい!という熱意を持つ人(オーナー)とフランチャイズ契約を行い、密接なタッグを組みながらビジネスを行っていくというものです。地域の担い手となっているオーナーは、様々な地元コミュニティとつながっていて、そこから新しいコミュニケーションが出来上がり、通常ではアプローチできないような地元の名人・職人さんたちや団体、行政とのネットワーク、新しい協業のアイデアなどが、店舗展開を通して生まれてきました。
現在、<BEAMS JAPAN GATE STORE>で展開する商品は4つのカテゴリーに分かれています。
(1)インライン商品―各店舗共通の商品群
(2)お土産物―地域ごとのテーマカラーを設定した商品
(3)地元の工芸品―商品の魅力がより伝わるように別注した製品
(4)オーナー独自仕入れ品―地元の良いものをオーナーが独自で展開できる商品カテゴリー
「例えば宮島の土鈴、日光のきびがら細工や御神木など、そこにしかないもの、そこでしか手に入らないものを商品化できたのは、オーナーの熱意と地元コミュニティとのつながりがあったからこそ。そして、地域共創型店舗というコンセプトが多くの人たちに共感していただけたからだと思っています」。
様々な地元コミュニティとのつながりが増えていく中、「このネットワークを活かして、何か面白いイベントが出来るんじゃないか」と考えていた鈴木さんのアイデアが実現したのは2024年の11月23日。島根・出雲の魅力を紹介する、『縁縁出雲 Produced by BEAMS JAPAN』が開催されました。地元企業や行政、職人さんなど15の事業者が協力して“肩肘はらずに、出雲の魅力を楽しんでもらう”ことを目的に、松江市と出雲市を結ぶ一畑電車が一日限定特別車両を運行するという内容です。「駅のホームに屋台を設置したり、車内では地元の日本酒やクラフトビールを味わえたり。BEAMS JAPAN だけでは実現できないことを、地域のみなさまと協力し、一体となって島根・出雲の魅力を発信できたことは最高でした」。