教育×ジオガストロノミー

Education & Geo-gastronomy

慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科 研究員
一般社団法人 森と未来の学校 代表理事 慶應義塾幼稚舎 教諭
井川 裕之氏

「フードマイレージを最小化するアイディアを考えよう」「ビーガンフードを広めること
で、肉食が少しでも減れば、CO2削減になるよね」「注目されていないローカルフードはあるかな」……慶應義塾幼稚舎6年生の教室の中で、意見が飛び交います。小学校6年生の彼らの話し合いは、世の中に発信するためという目的を持って熱を帯びています。
慶應義塾幼稚舎6年生の1クラスが、2021年11月にアイランダーサミット石垣にオンラインで参加し、「未来の食を考える」というテーマでプレゼンテーションをしました。

私は、社会を好転させるための志と発想を育てていくことが、教育において大切なことなのではないかと考えています。そのために、教員である私は今回、子どもたちにとって身近な「食」と環境にスポットを当て、「未来の食を考える」というテーマ学習を設定しました。

以下は、今回のテーマ学習の一連の流れです。
10月
・ジオ・ガストロノミー代表 渡邊賢一氏による授業。食に関する課題全般や、先進事例を紹介。
・デンマークロラン島の環境ディレクターニールセン北村朋子氏によるオンライン講義と交流。デンマークの食に関する環境意識と、先進事例を紹介。
・世界ビーガン料理コンテスト金賞の杉浦仁志シェフによるオンライン講義と交流。食の環境負荷とビーガンフードについて紹介。
・国連ワールド・フード・フォーラム公式映像を教材として活用。食の多様性、循環性、持続可能性について理解を深める。
11月
・アイランダーサミット石垣にて、プレゼンテーションを実施。有識者からコメントをもらう。
・慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント学科 白坂成功教授によるオンライン講義と交流。宇宙利用の最先端と宇宙から考える環境問題について紹介。

世界中、どんな子どもも必ず毎日行うのが、食事。すべての子にとって最も身近な「食」が、環境につながっていることを知ることは、世の中の課題が自分と密接につながっていることを感じるきっかけになります。

ジオ・ガストロノミー代表の渡邊賢一氏による授業では、江戸の飢饉を「かてもの」というレシピによって乗り越えた米沢藩の知恵に子どもたちは驚いていました。「現代版かてものがあれば、食糧危機の国を救えるかもしれない」という声も子どもたちからあがりました。

学校において、長く教科書を覚えることが重視されてきました。今こそ、社会の課題に直接直面し、解決法を考えていく時代であると思います。
これからの教育において、「食の課題の解決」を考えていく学びは、社会の課題の解決を考えていく人を育てていく上での入り口として、非常に適しています。
自分事として社会の課題を解決する志を、ジオ・ガストロノミーを用いた教育から、育てていきたいと考えています。

慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科 研究員 一般社団法人 森と未来の学校 代表理事 慶應義塾幼稚舎 教諭
井川 裕之氏