
ドローンショーとプロジェクションマッピングという2つの先進技術を活用した地方創生の取り組みについて、それぞれの分野のトップランナーから具体的な事例を交えて講演いただきました。
登壇者・講演内容
株式会社レッドクリフ 代表取締役社長 佐々木 孔明氏
まず最初に、株式会社レッドクリフ 代表取締役社長 佐々木孔明氏が「空のクールジャパンの未来」と題して講演を行いました。
**佐々木氏は、大阪万博での常設ドローンショーにおいて期間中10万機以上の運用を実現し、世界で最もドローンを飛ばした企業となった実績を紹介。さらに、日本のアニメやゲームといったIPコンテンツとドローンショーを融合させたドローンショー構想を提示し、空を新たな「メディア」として活用することでナイトタイムエコノミーを創出する可能性を語りました。また、花火大会との組み合わせや、現存しない城跡などの歴史遺産をドローンで再現する取り組みを紹介。8,000機のドローンで初音ミクのミュージックビデオを上映し、ギネス記録を達成した事例も披露されました。佐々木氏は「空という未活用の地域資源を、ドローンショーによって新たな観光コンテンツに転化できる。」と述べ、空間活用の新しい視点を示しました。

株式会社ネイキッド 執行役員/プロデュース部門統括 久保 哲矢氏
続いて、株式会社ネイキッド 執行役員/プロデュース部門統括 久保哲矢氏が「光から始めるクールジャパンの可能性」と題して講演を行いました。
**久保氏は、京都での「ネイキッドガーデンワン京都」プロジェクトを中心に、2017年から継続している二条城でのライトアップ事業を詳しく紹介。G7広島サミットや世界水泳福岡大会など、国内外の大規模イベントでのプロデュース実績を示しながら、企業版ふるさと納税を活用した資金調達モデルの確立や、夜間営業による「二毛作」型マネタイズの実現といった地域資源と連携した具体的な収益化手法を解説しました。さらに、長野県阿智村での「日本一の星空」ブランディング支援により観光客を15万人以上に増加させた事例や、佐賀県庁での「光るアート県庁SAGA」など、全国各地での展開事例を紹介。久保氏は「神社仏閣などの文化遺産に光を当てることで、夜間の新たな価値を創出できる。重要なのは、その場所の歴史や文化的背景を尊重しながら、現代の技術で表現すること」と述べ、文化と技術の融合の重要性を語りました。

両社のプレゼンテーション後のディスカッションでは、単発イベントから継続的な取り組みへと発展させるためには、行政・民間企業・表現者の三者連携が鍵となること。また、企業協賛やふるさと納税、夜間営業といった多角的なマネタイズモデルの重要性、地域住民との協働による持続可能な観光コンテンツの創出など、幅広い視点からの質疑と議論が行われました。