“日本らしさ”の再発見

世界に受け入れられている、多彩な分野の「日本らしさ」

日本の魅力を海外に発信するクールジャパンの取組を募集する「CJPF AWARD 2023」。ムービー部門では全289件、プロジェクト部門では全124件の応募作品の中から、受賞作が決定されました。2023年3月9日(木)に開催された第4回CJPF LIVEでは、ムービー部門・プロジェクト部門、それぞれの審査員が集まり、『どのような視点で審査・評価を行ったのか』『今後のCJPF AWARDへの期待や、より強化していきたいポイント』などを中心に議論を展開。多彩な分野で「日本らしさ」が世界に受け入れられていることを強く実感するとともに、クールジャパンの未来に向けた期待と展望が確かなカタチとなって見えてきました。

日本の地方には多彩な魅力がある。
それをどうやって伝えるか。
−ムービー部門第1部

第1部のテーマは、「どのような観点でCJPF AWARDの審査に臨んだのか」。審査員一人ひとりが重視したキーワードをベースとして議論を進めていきます。ファシリテーターを務めるのは、CJPFのディレクター・渡邉 賢一氏です。 まず始めに、審査員長の辻氏によるキーワードは【Curiosity(探求心)】。日本人でも海外の人間でもなく、国際人として作品一つひとつを見た時に、自分がそこに興味を持ち、「もっと知りたい」という探求心が芽生えたかどうかを重視したと語りました。続いて、国際オタクイベント協会代表/Circle.ms代表の佐藤氏があげたキーワードは【多彩なバリエーション】。漫画やアニメでもいわゆる王道タイプのものはたくさんあります。それも大事ですが、日本の漫画やアニメはいろんなバリエーションがあり、それが魅力となって王道もさらに盛り上がっていく形になっていると話す佐藤氏。「日本の地方には多彩な魅力があり、それを全面に押し出したものに注目しました」。Japan Experience株式会社プロダクト・マネージャーのダコスタ・レティシア氏が重視したのは【人・文化・地域】。それら3つのトライアングルによって、自分がその地域に行きたいか、その文化に触れたいか、地域の人たちに会いたいと思うか。そんな観点で審査に臨んだと言います。日本政府観光局(JNTO)デジタル戦略アドバイザーである牧野氏のキーワードは【映像作品】。今回の応募作品では、映画的な手法やゲームとのコラボなど、これまでに無かったアイデアで作られたムービーに興味を惹かれたと語ります。「映像作品として多くの中で埋もれないようにするためには、想いも大切だけれども、それをどうやって伝えるかというところに進化を感じています」。
今回応募されたムービーは、どれも映像のクオリティが高いものばかりでしたが、今後、さらにその上を目指すためには、どのような工夫が必要なのか。審査員長の辻氏とダコスタ・レティシア氏が考えるのは「丁重に描いていくストーリーテリング、文脈の大切さ」。また、佐藤氏からは「世代にしても地域にしても、世界中の多くの人に向けたものではなく、ある特定の層により深く刺さるようなものが面白いのではないか」という意見がありました。

美しいだけの日本ではなく、
いろんな側面の日本を発信していきたい。
−ムービー部門第2部

「今後のCJPF AWARD(ムービー部門)への期待や、より強化していきたいポイント」をテーマとして議論を行った第2部。社会のデジタル化が進み、世界約80億の人たちが日本の情報をキャッチする可能性を秘めている中、あらゆるところでクールジャパンを表現・発信できる可能性があります。今後、どういった観点で、映像を通じたクールジャパンを盛り上げていくことができるのか。
ダコスタ・レティシア氏が考えるキーワードは【国内外の共同創作】です。「SNSが大きな影響力を持つ時代では、インフルエンサーの存在がとても重要。そうした人たちが日本にやって来て、作品を作ったり、日本の監督と海外の監督がコラボレーションを行ったり。そういう作品が増えれば、とても面白いと思います」。
【ターゲットに向けた企画を】というキーワードをあげるのは、佐藤氏。「全世界の人に広くアピールするような王道ではなく、ターゲットは狭くても、深く刺さり、「絶対日本に行きたい」と思わせるような作品」を期待します」。牧野氏のキーワードは、そのものズバリの【クールジャパン】。日本の伝統や文化だけではなく、『今の日本』を求める人もいると考える牧野氏は「アニメでもロボットでも回転寿司でもメイドカフェでも、東京や地方の『今の街』を紹介してもいいかも知れない。アニメや人形劇など、フォーマットにこだわらず表現した作品自体に、非常にクールジャパンっぽいものがあると思う」と語りました。最後は審査員長の辻氏が挙げた【人間臭さ HUMOR INNOVATION 学び】。「今まで通りの美しいジャパンだけじゃなく、もっといろんな側面のジャパンを発信していきたい」とまとめてくれました。そして最後は渡邉氏のキーワード【3E(エンターテインメント・エンカレッジ・エンパワーメント】。作品は楽しいものであるべき。CJPF AWARDはそういった取組をもっともっと応援していく。そしてみんなでつながって国力にしていきたい、と力強く語りました。
また、今回の議論では『海外からの視点』について、多くの意見があったことも大事なポイントです。ダコスタ・レティシア氏の【国内外の共同創作】もそうですが、「自分たちが当たり前と思っているうちはその価値に気づけない。協働制作などで外の目線を取り入れたり、海外の方が作った海外目線の日本のPR動画を見てみたい」と語る佐藤氏や、「外の視点をどう取り入れて、それをドライブしていくか」と牧野氏。辻氏からも「外国人が見たい日本は、自分たちが伝えたい日本ではないかも知れない、ということを常に考え、様々な面を見せていくことが大切」という意見が出るなど、今後のクールジャパン全体の方向性にとって大きなヒントになるかも知れません。

グローバル視点でローカル。
日本特有のものを守っていく。
−プロジェクト部門第1部

プロジェクト部門第1部のテーマは、「どのような観点でCJPF AWARDの審査に臨んだのか」。ファシリテーターは、国際ガストロノミー学会日本代表の山田早輝子氏です。
「もう世界市場と日本市場を分けなくていいんだなと感じた作品が多かった」と話す審査員長の夏野氏のキーワードは【BORDERLESS】。A.T.カーニー日本法人代表・梅澤氏は【世界で愛される日本固有の文化】をキーワードとして、「駅弁やスナックなど、日本の中で独自に発展してきた固有の文化がそのままの形で世界に出ていけることが見えてきた」と感じています。【NEW エクスペリエンス】に注目したのがカフェ・カンパニー株式会社・代表取締役社長の楠本氏。「駅弁やアニメ、特に忍道もそうですが、体験というものが、ダイレクトに価値につながる、ビジネスにつながっていくということをすごく実感したラインナップになっていると思います」。続いてVegas PR Group代表のローレン・ローズ・コーカー氏のキーワードは【CHALLENGE】。「当たり前とかシンプルな方法ではなく、一段上を目指してチャレンジする人たちが多く、これまでよりもレベルアップを感じました」。株式会社Oyraa代表取締役社長のコチュ・オヤ氏は【外国人に響くポテンシャル】をキーワードに挙げ、「日本にいなくても、自分たちの生活の中で日本文化を楽しめる場とか機会を作っているところがすごく良かった」と語ってくれました。そしてファシリテーター・山田氏のキーワードは【グローカル】。「グローバル視点でローカル。日本特有のものを守っていこうということですね」。

日本の文化は、質の高いロングテール。
伝え方や発信力が、ますます重要に。
−プロジェクト部門第2部

第2部は「今後のCJPF AWARD(プロジェクト部門)への期待や、より強化していきたいポイント」がテーマです。
夏野氏のキーワードは【AMBITION】。「すごく広いマーケットが日本の文化に注目しているのは間違いない。だから、そこいくか!?というAMBITION、野心をぜひ持ってほしいですね」。「日本にしかない貴重な文化や豊かな自然にはとても高い付加価値があります。それを活かしたLuxuryな体験を日本全体、特に地方部で実現したい」と考える梅澤氏は【Luxury】をキーワードとしました。楠本氏のキーワードは【価格倍増】。「最近、日本は安くて美味しい国と言われますが、そうじゃなく、日本は“美味しい国”です。安さではなく、日本の価値を上げていく取組みが必要」と訴える楠本氏の想いが込められている言葉です。「来年は【Imagination】想像力を持って、今までにないものやびっくりさせるようなものを期待しています」とローレン・ローズ・コーカー氏。日本の魅力が全然届いていない国とか場所がたくさんあると感じているコチュ・オヤ氏のキーワードは【日本ファンを増やすこと】。「もっとニッチなところまでクールジャパンの取組が届けられる仕組みにも期待します」。ファシリテーターの山田氏は【国際化より多様化】をキーワードとしました。「自分たち、日本の特有のものを多様化として海外に受け入れてもらう時期に来ているのではないでしょうか」。
日本の文化を“質の高いロングテール”というフレーズで紹介しているという梅澤氏。クリエイターを始めとした職人気質の人が多く、徹底的に作りこまれた高いクオリティを、堂々と世界に押し出していくことを真剣に取り組める時期になってきたことを感じています。そのために必要なものは、マーケティングとブランディング。「無理に安い値段を設定するのではなく、コストよりもそこに至った歴史やストーリーをマーケティングしましょう」と最後に語ったのは夏野氏。良いものを作れば売れる時代は終わり、これからは日本が持つソフトを大事にすること、そしてその伝え方や発信力がますます重要になっていくでしょう。

登壇者プロフィール

  • 【ムービー部門】辻 芳樹

    学校法人辻料理学館 理事長 辻調理師専門学校 校長

  • 【ムービー部門】佐藤 一毅

    国際オタクイベント協会 代表 Circle.ms代表

  • 【ムービー部門】渡邉 賢一

    株式会社XPJP代表 クールジャパン官⺠連携 プラットフォーム ディレクター

  • 【ムービー部門】ダコスタ・レティシア

    Japan Experience株式会社 プロダクト・マネージャー

  • 【ムービー部門】牧野 友衛

    (一社)メタ観光推進機構 代表理事 日本政府観光局(JNTO) デジタル戦略アドバイザー

  • 【プロジェクト部門】夏野 剛

    近畿大学 情報学研究所長 特別招聘教授

  • 【プロジェクト部門】梅澤 高明

    A.T.カーニー 日本法人会長 CIC Japan会長

  • 【プロジェクト部門】楠本 修二郎

    カフェ・カンパニー㈱ 代表取締役社長

  • 【プロジェクト部門】コチュ・オヤ

    株式会社Oyraa 代表取締役社長

  • 【プロジェクト部門】ローレン・ローズ・コーカー

    Vegas PR Group 代表

  • 【プロジェクト部門】山田 早輝子

    国際ガストロノミー学会日本代表 株式会社FOOD LOSS BANK 代表取締役社長

Answers to questions

CJPF LIVEにつきまして、皆様より頂戴いたしました質問や回答につきましてご回答させていただきます。

  • 実際にAIによるメニュー開発など、テクノロジーを活用した食の事例はあるんでしょうか?
    まだ施策段階ではありますが、ビーガンの領域において、いくつかの先進事例はあります。
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