2025年度 第4回 CJPF LAB「ファッション・ビューティの海外展開の今」

クールジャパン関連産業としてファッション、ビューティの2つの業界から、それぞれ海外展開における特長を有する企業から具体的な事例を交えて講演いただきました。(開催日:2026年2月12日)

登壇者・講演内容

ダムダム(DAMDAM) ファウンダー フィリップ・テリアン 氏

まず最初に、ダムダム(DAMDAM)ファウンダーでもあるフィリップ・テリアン 氏より、世界に向けて作られた日本生まれのブランドとしてDAMDAMがつくられ、設立の経緯からグローバル基準での製品づくり、世界における日本ブランドの課題感も紹介されました。

テリアン氏は、日本の化粧品は深い歴史と良い原料がたくさんあるが使われていないといったこと、深い歴史をベースにしたストーリーテリングがされていないことがもったいないとして、そのような魅力を世界に届けるブランドとして製品づくりやブランディングをされており、製品づくりにおいても、日本の地方に眠る原料の発見や、生産のために休耕地を活用して原料生産をしてもらう取組から独自の原料や生産ルートを獲得するなど、双方にとって価値のある連携から地方の活性化にも繋がっていることが紹介されました。

また、海外のイベントの講演にも昨年(2025年)からよく呼ばれるようになったものの、日本ブランドから呼ばれているのはテリアン氏だけで、出展社も日本ブランドが1社しかなく、韓国ゾーンの一画に入れられてしまうエピソードも交え、世界における日本ブランドの展開の少なさは非常に悲しいものがあり、もっと増えてほしいという願いと現状が共有されました。

株式会社CFCL 代表取締役副社長 COO 松浦 直彦 氏

続いて、株式会社CFCL 代表取締役副社長 COO松浦 直彦 氏より、海外事業展開へのアプローチとして事業や取組についてご紹介されました。

松浦氏は、労働集約型で原価低減のために海外の賃金が安い地域を転々としながら大量生産をしてきているこれまでのファッション業界の生産の常識に対して、製造設備と小さな工場でも稼働可能で、日本も含む先進国でも生産が可能なニット製造手法で労働集約型のモデルから脱却し、製造設備さえあれば同様のものがすぐに国を超えて現地で製造できる付加価値も含め、新たなモデルでの展開を進めていることが紹介されました。

また、和服ではなく洋服をつくるという事業であるからこそ、現地には“洋服”の本場のブランドが多数ある欧米において、現地の方が購入する価値の意味づけが必要であり、いかに日常で使いたいものをデザインして提供できるかといった点も重要な視点であると説明されました。

そして、海外展開につながる観点で、組織戦略である「優秀な人材を“世界各地”のあらゆる業界“から”集め“”育む“こと」として、異業種出身の人材を重視する理由の出発点は人材獲得が難しかったという課題であったことが共有されました。当初ファッション経験者の応募が少なく人材獲得ができないことに、どう向き合うのかということが出発点であり、視点を変えた時に、他業界からファッションにチャレンジしたい人が多いことや、日本で働きたい外国人が多いこと、働き方に困っている人が多いことなどが希望の光となったことから、何を諦めて、どのように壁を超えるのかを整理し、例えば言語についても会社負担や非言語トレーニングも整備するなど、会社の仕組みを整えていることが紹介されました。

両社のプレゼンテーション後のディスカッションでは、各パートのモデレートを務めていただきました株式会社アイスタイルBeautyTech.jp 編集長 矢野 貴久子氏と株式会社gumi-gumi 代表 編集者/ファッション・クリエイティブ・ディレクター 軍地 彩弓氏も交えて質疑応答と議論をいただきました。

ビューティもファッションも、日本がもともともっている文化的資産を活かせる独自の強みがあり、日本の価値は世界を席巻する可能性が大いにあるチャンスにあふれたタイミングになっている一方で、スピードや外国人材の活躍、そして海外目線でのブランディングやマーケティングといった、日本の魅力を海外の方が理解できるように伝えるといった課題も発信され、議論が行われました。

会場とWebのご参加者の皆様からは、製品づくりにおける海外規制対応について、どの段階からどのレベルに合わせた製造をされているか、海外向けのPRの手法とポイント、今後の展開など積極的な質問も多数寄せられ、活発な会となりました。