
CJPF では、クールジャパン関連産業の海外展開戦略に関心のある企業や専門家の情報共有・意見交換の場として「CJPF LAB(研究会)」を定期的に開催しています。各分野のクールジャパンの先駆者やグローバルな視点での成功事例など、官民連携プラットフォーム会員やCJプロデューサーを巻き込みながらノウハウの共有を進め、クールジャパン関係者の事業拡大や、関係者同士の連携の機会創出を目指します。
令和7年度第2回は、「スポーツ×クールジャパン可能性」と題し、有識者にご登壇いただき、スポーツを切り口に、アニメ・IP・経済・テクノロジー・海外展開など多角的にクールジャパンの未来像を講演いただきました。(開催日:2025年10月10日)

エンタメ社会学者 中山 淳雄 氏
中山氏はデータ分析により、日本のスポーツ参加人口は2012年の2,700万人から2020年には2,200万人に減少し、ファン人口も縮小傾向にある一方、スタジアム観戦市場は単価が2倍になり1.6倍に成長していることを解説いただきました。加えて、日本ハムファイターズのエスコンフィールド移転により売上が2倍になった成功事例を紹介し、体験価値の重要性を強調しました。さらに、ハイキュー!!が76万人、ブルーロック!!が50-60万人の推しファンを獲得し、J リーグ全体(70億円)を上回る年間100億円以上の経済効果を生んでいることを提示しました。お話の中で、女性ファンは男性の2倍の比率で周囲にコンテンツを推奨する傾向があり、スポーツビジネスにおける女性層獲得の重要性を指摘しました。また、2020年以降、ディズニー+やNetflixなどがスポーツコンテンツへの投資を2年間で2,800億ドルから4,000億ドルに増加させるなど、グローバル市場でライブコンテンツとしてのスポーツの価値が再評価されていることを紹介しました。中山氏は「スポーツは『やる』から『見る』体験型エンターテインメントへの転換が必要であると述べました。アニメ・ゲームとのクロスオーバーにより、若年層・女性層への訴求力を高め、海外展開を図ることで大きく成長する可能性がある」と述べ、分野横断的なファンダム構築の重要性を示しました。

日本サッカー協会 パートナー事業部 清野 優斗 氏
清野氏は、JFA(日本サッカー協会)が海外で取り組んだ事例として、日本パートナー企業との海外進出に関する実践的な取り組みを紹介しました。具体的には、マレーシアにおける日本代表公式グッズ販売の展開や、現地サッカー協会と連携しキッズフェスティバルを題材に日本のサッカー普及・育成ノウハウを現地指導者にへ提供した事例を共有しました。
本取り組みを通じ、帰国後も指導者自らが日本のノウハウを取り入れたキッズフェスティバルを継続的に開催するなど、現地に根付いた普及活動へと発展しています。
清野氏は、「JFA単独では目標達成が難しく、価値観に共感する企業との連携が不可欠である」と述べ、官民連携による国際展開の重要性を強調しました。

プロサッカー選手 町田 浩樹 氏
町田氏は、従来の2D肖像権(顔や姿)に対し、3D肖像権という新概念として「動きのデータ」の重要性を提示しました。大谷翔平選手のバッティングフォームやサッカーのキックなど、スポーツ選手の動作データがデジタル技術の進展により新たな産業コンテンツになる可能性を説明しました。モーションキャプチャ技術により身体の動きをアニメ、ゲーム、トレーニングシミュレーターに活用でき、バーチャルヒューマン「imma」のポルシェCM出演事例や、伝統技能の保存、医療分野、障がい者リハビリテーションなど多様な応用可能性を紹介しました。町田氏は、早稲田大学eスクールで生体計測学を専攻し、Jリーグ試合のGPSデータからハムストリング損傷との相関を研究した経験を紹介しました。現在リハビリ中ですが、身体データのIP化により、①次世代への教育・コーチング、②怪我への対応(復帰プロセスや再発防止)、③キャリアの延長(引退後もデータとして継続)、④社会課題解決への貢献、⑤VR・ゲームでの活用という5つの可能性を提示しました。スポーツ選手の体は有限で最高パフォーマンスを出せる期間は限られているが、IP化することで永久的にアーカイブとして残せることを強調しました。

Q&Aの時間では会場からも多数のご質問が寄せられ、地域での活動や海外現地での取組との連携可能性や、スポーツとIPコンテンツの掛け合わせなどについて意見が交わされ、開催後のネットワーキングでも登壇者を交えて活発な交流がおこなわれました。