2025年度 第3回 CJPF LAB「IPとの連携による魅力向上の現在地とこれから」

過去最高となる約300名の応募をいただいた2025年度 第3回のCJPF LABでは、IPビジネスを展開する株式会社アニプレックスと、IPと異分野をつなぐ橋渡し役を担うTOPPAN株式会社をゲストスピーカーとしてお迎えし、日本発のコンテンツと他産業の連携による価値向上の取組拡大に向けた示唆を、それぞれの視点から提供いただく貴重な講演となりました。(開催日:2025年12月19日)




株式会社アニプレックス 執行役員常務 三宅 将典 氏

アニプレックスの三宅氏が「日本のテレビアニメの歴史と商品化ビジネスの変遷」についてお話をいただきました。三宅氏は、かつてサブカルチャーとされていたアニメが今や日本の基幹産業として位置づけられるまでの歴史的経緯を解説。1953年のテレビ放送開始当初は、一つの番組に一社のスポンサーがつき、子供向けプログラムとして「キッズ・ファミリー番組」が展開されていたことを紹介しました。商品化ビジネスは、鉄腕アトムなどのパッケージにキャラクターを配した「キャラポン商品」から始まり、魔法少女のコンパクトや仮面ライダーの変身ベルトといった「なりきりグッズ」、マジンガーZの超合金やガンダムのガンプラなど劇中アイテムのリアル再現、そしてベイブレードなどの「ホビーアニメ」へと進化してきたと説明。1977年の『宇宙戦艦ヤマト』を契機に、アニメは子供向けから大人の鑑賞に耐えうるコンテンツへと転換し、アニメファン、オタク文化、同人誌、OVA、深夜アニメという新たな市場が形成されたと述べました。さらに、『鬼滅の刃』を例に、深夜アニメとしてスタートした作品が配信プラットフォームの登場やコロナ禍などの要因が重なり、コアなアニメファンからキッズ、一般層まで幅広く支持される現象が生まれたことを紹介。三宅氏は「ビジネス規模の拡大により、従来のアニメ関連企業だけでなくナショナルメーカーとのコラボレーションが一気に増加した一方、業務効率やキャパシティ、企業ごとの作品理解度のすり合わせが課題となっている」と述べ、アニメビジネスの大衆化がもたらす新たな局面を示しました。




TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ビジネストランスフォーメーション事業部 IPビジネス開発本部 本部長 兼 TOPPANコスモ株式会社 取締役 追木 浩二 氏

TOPPANの追木氏が「IPコンテンツ産業におけるコラボレーションの課題と橋渡しの役割」についてお話をいただきました。追木氏は、TOPPANが印刷技術を起点とする高品質なものづくりの力と、多岐にわたる業界への広い経験を生かしたプロデュース力で日本のIPコンテンツ産業を支援していると紹介しました。約20,000社の取引先とライセンサーを橋渡しする役割を担っていると述べました。追木氏は、日本のIPコンテンツが独自の世界観と高いクオリティを持つ背景には、日本人全体が持つこだわり気質—丁寧さ、緻密さ、独自の精神性、追求する姿勢がある—と分析しています。一方で、ライセンサー側が世界観・設定・ファンとの信頼を重視し長期視点でコンテンツを育てるのに対し、ライセンシー側は集客・話題性・拡散を期待するという視点のズレが稀に生じることを指摘し、TOPPANがそのズレを翻訳・調整・具体化する役割を果たしていると説明しました。事例として、洛中洛外図屏風の忠実なレプリカ(1,000万円)や針の穴サイズの豆本といった自社のこだわりのものづくり、石屋製菓とのコラボレーションで葛飾北斎のデジタルアーカイブデータを活用した高精細パッケージのチョコレートを紹介しました。また、秋葉原駅構内の「TOPPA!!! BASE」や、イギリスで21回開催している「HYPER JAPAN」というクールジャパンイベントを通じて、日本のエンタメ、食文化、伝統文化、ゲーム、テクノロジーを海外に発信していると述べました。追木氏は「印刷事業や文化財のデジタルアーカイブを通じて知的財産とコンテンツを丁寧に取り扱ってきた経験を活かし、企業とIPコンテンツを良質なご縁でつなぐことが我々の役割である」と締めくくりました。

Q&Aの時間では、会場とオンライン双方から盛んに質問が寄せられ、様々な業界業種からのIP連携の相談や、連携のためにお問い合わせをしても問題ないのかというものなど、具体的な検討に向けた内容も多数やりとりが交わされました。
その後、会場では時間いっぱいまでネットワーキングが催され、登壇者や参加者同士での交流もおこなわれる中、盛況のうちに閉会となりました。