世界に進展する
プラントベース・
ガストロノミーの行方
=私たちが考える
2050年の地球とは=

The Course of Action for Plant-based Gastronomy—Our World in 2050

ONODERA GROUP
グループエグゼクティブシェフ
杉浦仁志氏

現在、2020年に入りコロナウイルスの影響で私たちの生活習慣は劇的に変化し、新たなフェーズに入った事を社会全体が体感しています。

それと重なり合うように、私たちの生存する地球においても温暖化という地球規模の社会問題が日常生活の中で感じられはじめています。
例えば、近年では当たり前となったゲリラ豪雨を始め、毎年のニュースで流れる過去最大規模の台風、漁獲量の減少と旬の変化、安定収穫できた野菜が不作で終わるなど、著しい変化が起こるようになりました。
それは、私たちの文明の発展とともに 生活が豊かになる中、知らず知らずのうちに相反して地球に対して大きなダメージを与えていたのかもしれません。
合わせて、これから世界的な人口爆発が予期される中、このままのライフスタイルで生活を続けていくと地球が二つ必要となる事も予想されています。
そのような状況下の中で、各国が様々なアイデアから環境問題の改善に向けこの美しい地球を再生させる取り組みを行なっています。

私は考えました。 ガストロノミーにおいて全世界で共通する”食べる”という行為は人類における生命維持の中で必須となる行為でありますが、 環境改善におけるソリューションでもある事と感じ、それは、日常の中で如何に環境に優しいライフスタイルを食から育んでいく事が重要であるかと私は悟りました。そのソリューションキーワードの一つとして”プラントベース”志向の食のライフスタイルが地球環境において効果的なパフォーマンスへと導くはずです。

この”プラントベース”は、私達 日本人の食のライフスタイルに古来から密接しています。
例えば、私たち日本人のひとつの食文化である精進料理の菜食の世界です。 13世紀に広がった日本の菜食の文化ですが当時は物流が発展していない中での食生活ということで 地元の季節の食材を自分の手で調達し自然と調和し自然の恩義に対する感謝の気持ちから、 必要最低限の食材を調達し自給自足の持続可能なライフスタイルを送っていました。
そのはるか昔のイデオロギーから現代社会の飽食について見つめ直す事も出来るでしょう。

私は「健康と共に地球環境にもポジティブな効果が生まれるライフスタイル」を日常の食卓やレストランの中で美味しさを感じながらストレスなく環境問題改善に繋がる社会貢献ができるのではないかと悟りその可能性に対して行動を起こしました。例えば、 全国で1000ヶ所で日常食からヴィーガン食を取り入れ社会貢献を行う”1000 Vegan Project” を社会連携しながら実装する事を起案し、北は北海道稚内、南は沖縄県まで1年間で10万食以上の ヴィーガン食を各企業と連携し人と地球に優しい食の社会貢献アクションを達成致しました。

また、食のクリエイターと位置づけされるレストランシェフとのヴィーガンメニューのレストランイベントを通じて、通常メニューの中でプラントベースへの推進を図る活動を行い、食品会社との協力からプラントベースにシフトする商品開発など継続的に行っております。

私は思います。フードソリューションとは 、私たちのささやかな食の意識を変えることができ、より大きな力を生み出すことを実感しており、 この青い美しい地球を持続可能に導く事が出来る可能性を信じています。そこには、国籍・肌の色・宗教的な壁はなく、生存の中において必須である食から意識を変え、プラントベースガストロノミーの世界から”口福の社会”へと導く事が実現できる事を。その貢献精神のマインドから地球規模での活動を行うことにより、美しい 地球再生への実現ができれば、どれほど平和的で素晴らしい事であろうと。

その中で私はソリューションの鍵となる3つのアイディアを定義し、”2050年に向けて食を再構築する 未来のレシピ”と命名致しました。
このレシピアイディアは2050年の持続可能な食の未来を創る地球と人類に捧げる地球料理(ジオ・ガストロノミー)のレシピの定義とし、そのレシピが2022年2月19日に宇宙センターから発信され、その願いを宇宙宣言と致しました。

1、ローカルとテクノロジー
各土地の山・海・陸の生命体を、古来から食の歴史を持つローカルガストロノミ―とテクノロジーを合わせ、宇宙的視野からのダイナミックな地球の分析から、地産特産物のゲノムのミクロ解析まで、多角的な分析から未来に繋がる人と地球に優しい循環型のレシピを創る。

2、先人の知恵を未来へ
人類誕生から現代まで続く、先人の知恵からなる循環型の社会から学ぶ・伝統郷土料理を見直す。また発酵・熟成文化の中にある、生命を長期保存させる“天然微生物”の可能性に着目する。

3、フードイノベーション
人口爆発における食料危機と共に、世界生産された食料の1/3が廃棄されるフードロスを価値に変える新しいフードイノベーション・レシピを考案する。

その定義が世界中の人類との共存共鳴のキーワードとなり循環型社会(サーキュラーエコノミー)が地球全体に広がる事で、2050年の地球がより美しい形で帰ってくることをイメージしています。

2050年につながる次世代の明るい社会に向けて 、食から育む プラントベースガストロノミーが地球全体でムーブメントが起るのは、そう遠くはないと感じています。
日常の食から考える、ささやかな食の社会貢献が私達の地球を明るい未来に繋がる事を知って頂き、持続可能な社会を地球全体で達成する事を私は願い地球全体の仲間と共に活動を続けて参ります。

ONODERA GROUP グループエグゼクティブシェフ
杉浦仁志氏