
クールジャパン コラム記事
COLUMN
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15 地球社会の未来を開く、おいしい経済学〜わたしたちは、世界一「おいしい国」に生きている〜
わたしたちは「世界一おいしい国」に生きている。 世界各国からコロナ禍が収束した後に行きたい国ランキングで、日本は、アジア居住者からは1位、欧米居住者からは2位と、軒並みトップクラスです。その目的の1位は「食」。海外から来日する観光客の多くが「おいしいものを食べる」ことが目的であることはさることながら、日本は『ミシュランガイド』も星をもっとも多く保有する国で、特に東京は星の総数でも、三つ星の数でも、ミシュランの本家であるパリを大きく上回っています。日本食の店が評価されるのはもちろんのこと、フレンチやイタリアンなど外国料理で多くの日本人シェフが腕を振るい、星を獲得しているのも特色です。ミシュランに限らず『パスタ・ワールド・チャンピオンシップ』や『世界ピッツァ選手権』など、国際的な料理のコンペティションで世界一位に輝いた日本人は枚挙にいとまがありません。日本は、世界各国の味をさらにおいしく進化さ […]
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8 グリーンジョブとしての料理人の役割の変化と日本の職業教育の役割
国連では温室効果ガスの最大37%が、グローバル・フードシステム由来の排出に起因すると位置づけました。フードシステムの恩恵を享受している全ての人たちが地球の温暖化に関わっており、環境に「無関心」であった消費行動を見直し、十全的な知見をもって日常を改める必要があります。欧州は、ポスト・コロナの経済戦略にグリーン・リカバリーを掲げ「Farm to Fork(農場から⾷卓まで)戦略」を策定しました。日本も農林水産省が環境政策を打ち出しています。 そして、そこで重要になってくるのが消費者教育です。プロダクトアウトの経済戦略であることに変わらないものの、需要を生みだすことがカギとなります。環境への配慮を意識した消費行動へと変容させるために、欧州では初等教育から環境教育の義務化が進み、日本でも環境教育への取り組みが活発化してくるでしょう。消費者の十全的な視点の獲得によって「無関心」からの脱却を促すのです […]
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4 精進料理から紡ぐ未来への教え
「山の坊さん 何食て暮らす ゆばの付け焼き 定心房(坊)」。 これは里坊がある比叡山麓の坂本に伝わるわらべ歌です。 比叡山を開かれた伝教大師最澄上人は、中国からお茶と湯葉を伝えられました。ゆばの付け焼きとは、湯葉の蒲焼。そして定心房とはたくあん(お漬物)のことで、こちらは平安時代の第十八代天台座主、元三大師良源が考案されたそうです。このわらべ歌からもわかるように、修行の山であった比叡山では肉や魚を使わない精進料理が基本でした。 肉や魚介、卵などの動物性タンパク質、植物性でもネギ、タマネギ、ニラなどの『五葷(ごくん)』と呼ばれるにおいが強い野菜は使いません。また出汁も同様で昆布や干しシイタケなどから採ります。 「酸味」「苦味」「甘味」「辛味」「塩味」の五味のバランスを大切にしており、素材本来の味を楽しみます。 そして、食事をする際にも食前後に「斎食儀」という言葉を必ず唱える作法が今も続けられ […]