クールジャパン コラム記事

COLUMN

  • 地球環境問題の解決の鍵は食と食文化にあり

    14 地球環境問題の解決の鍵は食と食文化にあり

    林 健太郎氏

    今を生きる我々は、地球規模の様々な問題――人間活動に伴う地球温暖化、生物多様性の減少、窒素汚染、新型コロナウイルス感染症など――を抱えています。日本で暮らしていると、地球のあちこちで起きている事が遠い世界の関係ない話に思えるかも知れません。しかし、モノも情報もあっという間に世界を駆け巡る今、地球はとても狭くなりました。面倒だと押しやったものが一回りして返ってもきます。世界から食料・飼料・原料・燃料をかき集めている日本は、世界の「将来可能性」に大きな責任を持っています。言い換えますと、日本が問題解決に本気になれば、貿易でつながる世界全体がよくなります。これぞクールジャパンの本懐でしょう。 冒頭の文に書いた「窒素汚染」には馴染みがないかも知れません。窒素は、タンパク質や核酸などの生体分子に欠かせない元素です。我々は、食品のタンパク質から窒素を摂取しています。大気の約8割が窒素ガス(N2)である […]

    • #日本の自然
    • #日本の食文化
    • #SDGs
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  • 「食品ロス大国」脱却を目指し、世界に情報発信を

    7 「食品ロス大国」脱却を目指し、世界に情報発信を

    山田早輝子氏

    日本ではまだ食べられるにも関わらず捨てられる食物が年間約570万トン(農林水産省と環境省による令和元年度の推計値)もあり、世界第6位、アジアでワースト1位という不名誉な結果になっている。しかし一方で、日本には古来、モノを大切にする「もったいない文化」がある。SDGsという言葉が生まれるよりもずっと前から「いただきます」という言葉があり、「お米の中には神様がいる」など食事を最後までいただく事を美徳とする伝統があった。また、日本の得意分野である製造業の優れた企業は、耐久性が高く、長持ちする製品を作ってきており、多くの分野で大量生産大量消費とは異なるサステナブルなモデルを誇っている。この事と大量の食品ロスが存在する矛盾は、どこから来るのだろうか。2020年に「FOOD LOSS BANK」を立ち上げるきっかけになったのが、この疑問だった。つまるところ「平和な日本が原因なのではないか」という結論に […]

    • #ガストロノミー・カリナリー
    • #SDGs
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  • 食を通じたウェルビーイング型の社会デザイン

    5 食を通じたウェルビーイング型の社会デザイン

    石川善樹氏

    2021年は、我が国にとって「ウェルビーイング元年」となった。その理由はいわゆる骨太方針や成長戦略のなかで、明確にウェルビーイングが位置付けられたからである。 たとえば骨太方針の中では、「政府の各種の基本計画等についてWell-beingに関するKPIを設定する」と明記された。それを受けた形で、内閣官房や文科省、厚労省、農水省、国交省、環境省、内閣府、消費者庁などが所管する、合計32もの基本計画においてWell-beingに関するKPIが設定された。この流れは2022年度以降も引き続き加速していくものと推察される。 あらためて述べておくと、ウェルビーイングとは「ある個人や社会において“よい”と知覚される体験や状態」のことを指す。それゆえ、決して固定化されたものではなく、時代や文化によって動的に変化しえる概念である。 さて、このなんとも捉えがたいウェルビーイングであるが、いうまでもなく何をも […]

    • #SDGs
    • #官民連携・コラボレーション
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  • 世界の質的変化と日本への期待

    2 世界の質的変化と日本への期待

    玉木直季氏

    生命の課題、それ即ちエネルギーの確保。2022年になりロシア危機がニュースを賑わすまで、2021年秋にCOP26の開催国となった英国や、環境先進国である欧州各国は、脱炭素、SDGsが話題の中心であった。企業に環境情報の開示義務を課すことで、環境に悪影響のある業界や、環境対策に消極的な企業へのファイナンスが絞られる仕組み作りも行っている。そして、カーボンニュートラルは、先進国を中心として用意される莫大なファイナンスと技術発展で達成できると位置付けている。また、ロシア危機と呼ばれる状況でさえ、その裏側にはロシアのエネルギーに頼らざるを得ない欧州の窮状が見え隠れしている。生命の誕生以来、エネルギーの確保が最重要課題であることは、人間の世界でも時代を問わず不変だが、その裏で一部、価値観の時間的逆行とも取れる質的な変化が起きている。 【金銭価値の変化】 お金の価値が無くなっていく、、、?そう聞くと「 […]

    • #日本の歴史・伝統文化
    • #SDGs
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  • UNWTOが推進するガストロノミー・ツーリズムの未来

    1 UNWTOが推進するガストロノミー・ツーリズムの未来

    鈴木宏子氏

    UNWTOの調査によると、近年は観光名所を訪問することと同じくらい、訪問先で郷土料理を楽しむことを通じて、地域のライフスタイル・文化を味わい、体験することを重視する観光客が増加しています。これらの観光客は、本物志向が強く、平均以上に消費するという傾向があります。 ガストロノミーツーリズムとは、「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム」と定義されています。 アフターコロナを見据え、オーバーツーリズムなどのコロナ禍前の観光課題への反省から、SDGsへの取組がより重要となり、経済のみならず社会・文化、環境面も重視した「持続可能な観光」への関心が徐々に高まっています。ガストロノミーツーリズムは、地域の自然環境や農業、文化との関係が深く、誰もが参画することができ人々の健康や幸福にも貢献するといった特長を有し、 […]

    • #ガストロノミー・カリナリー
    • #日本の食文化
    • #SDGs
    • #官民連携・コラボレーション
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