クールジャパン コラム記事

COLUMN

  • ソーシャルリスニングで読み解く新時代の価値シフト

    19 ソーシャルリスニングで読み解く新時代の価値シフト

    渡邉賢一氏

    「評価資本主義(エバリュエーション・キャピタリズム)」という考え方がある。世界の人口居住地域の常時接続率は90%を超え、人々はSNSをはじめオンラインメディアで繋がりあいデジタル・コネクトされた現代、「シェア」、「いいね」、「コメント」などの行為を通じて、「評価」をキャピタルとした社会が広がってきている。人々はこれまで貨幣資本、労働資本、社会資本、産業資本など様々なキャピタルをモノサシとしながら経済活動や生活文化、社会活動を営んできたが、現代社会においては、世界の人々が何を評価し、何に関心があり、どんな価値軸のシフトをしてきたのかという「評価資本」のポートフォリオを可視化し、分析することは社会の現状認識や未来予測として有効性がある。特にこのCOVIDシンドロームの時代に人々の価値観は著しく変化し、社会システムや経済状況、政策なども新しい枠組み化が進展してきた中、「鳥の目(俯瞰思考で生態系を […]

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  • 世界が期待する日本のフィッシュ・ガストロノミー

    16 世界が期待する日本のフィッシュ・ガストロノミー

    ニモ・グラスマン氏

    海外からの友人やお客様が来日されるたび、必ずと言っていいほどリクエストされるのは寿司です。 ご存知の通り、近年世界的に寿司や日本食は人気になっており、各国で急速な店舗展開がされていますが、やはり日本で食べるそれは格別に感じます。 地球の表面の約70%は海であり、古代より人々は漁業を営み、それを食すことで人類の貴重なタンパク源としていました。しかしその中でも、日本の魚文化は特別な存在であると言えます。 日本は島国であり、面積から見ると小さい国ながら世界のトップ10に入る海岸の長さを持っています。釣りや海産物の文化にも長い歴史があり、約7500年以上前、縄文時代にも定置網を利用しており、魚は生きていく上で大切な食べ物とされていました。 現在もなお、魚は日本の貴重なタンパク源であり、東京にある豊洲市場は世界一の規模を誇る卸売り市場として知られています。毎日約1,400トンの魚が世界から集まり、ま […]

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  • 地球社会の未来を開く、おいしい経済学〜わたしたちは、世界一「おいしい国」に生きている〜

    15 地球社会の未来を開く、おいしい経済学〜わたしたちは、世界一「おいしい国」に生きている〜

    楠本修二郎氏

    わたしたちは「世界一おいしい国」に生きている。 世界各国からコロナ禍が収束した後に行きたい国ランキングで、日本は、アジア居住者からは1位、欧米居住者からは2位と、軒並みトップクラスです。その目的の1位は「食」。海外から来日する観光客の多くが「おいしいものを食べる」ことが目的であることはさることながら、日本は『ミシュランガイド』も星をもっとも多く保有する国で、特に東京は星の総数でも、三つ星の数でも、ミシュランの本家であるパリを大きく上回っています。日本食の店が評価されるのはもちろんのこと、フレンチやイタリアンなど外国料理で多くの日本人シェフが腕を振るい、星を獲得しているのも特色です。ミシュランに限らず『パスタ・ワールド・チャンピオンシップ』や『世界ピッツァ選手権』など、国際的な料理のコンペティションで世界一位に輝いた日本人は枚挙にいとまがありません。日本は、世界各国の味をさらにおいしく進化さ […]

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  • 地球環境問題の解決の鍵は食と食文化にあり

    14 地球環境問題の解決の鍵は食と食文化にあり

    林 健太郎氏

    今を生きる我々は、地球規模の様々な問題――人間活動に伴う地球温暖化、生物多様性の減少、窒素汚染、新型コロナウイルス感染症など――を抱えています。日本で暮らしていると、地球のあちこちで起きている事が遠い世界の関係ない話に思えるかも知れません。しかし、モノも情報もあっという間に世界を駆け巡る今、地球はとても狭くなりました。面倒だと押しやったものが一回りして返ってもきます。世界から食料・飼料・原料・燃料をかき集めている日本は、世界の「将来可能性」に大きな責任を持っています。言い換えますと、日本が問題解決に本気になれば、貿易でつながる世界全体がよくなります。これぞクールジャパンの本懐でしょう。 冒頭の文に書いた「窒素汚染」には馴染みがないかも知れません。窒素は、タンパク質や核酸などの生体分子に欠かせない元素です。我々は、食品のタンパク質から窒素を摂取しています。大気の約8割が窒素ガス(N2)である […]

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  • 里の食文化から考えるサーキュラーエコノミーへのヒント

    13 里の食文化から考えるサーキュラーエコノミーへのヒント

    山田 拓氏

    名古屋にてCOP10が2010年に開催され、10年以上の月日が経っているが、その際SATOYAMAという概念が世界に紹介され、少しずつ世界に浸透してきたように感じられる。また気候変動の影響が世界各地で顕在化し、covid-19の台頭が人間社会に新たな方向性に向き合うことの必然性を突きつけているように感じている。 サーキュラーエコノミーには世界中にて多くの定義が存在するようだが、重要な概念として、使い捨て(直線型経済)、リユースにも留まらず、使用したモノやその中間過程で廃棄される材料が新たに形を変えてでも再生産され価値として販売されていく流れが構築されている状況を目指すことのようだ。 日本国内の地方部の多くには、永らく脈々と受け継がれてきた里山の叡智において、こういった視点がその地の人の営みの構成要素として、今なお多く存在する。 世界的にも認知が広がった日本酒・寿司の原料となる米に関しても、 […]

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  • 「VISON」に見る、テロワール×SBNRによる観光立国の方向性

    11 「VISON」に見る、テロワール×SBNRによる観光立国の方向性

    崎川真澄氏

    ワインの世界でよく耳にするテロワール(terroir)は、フランス語で大地を意味する「TERRE(テール)」が語源で、食品等の生育地の地理、地勢、気候による特徴=土地に根ざすものという意味である。 米国と日本における最大級のデジタルメディアであるバズフィード上では、様々な分野の記事を掲載しているが、コロナ禍で自由に帰省や旅行ができない中、「地域に根ざす食」関連のニュースへの関心が高まっており、21年度は、『#地元のおいしいやつ』 をつけた各地のグルメ記事を計34本配信、SNSで2万5千以上の拡散、125万以上のPVを獲得した。これら現在の読者の関心をポストコロナの観光に如何に活かすか、を考えてみたい。 2021年7月に三重県に誕生した日本最大級の商業リゾート「VISON」のコンセプトは『地域とともに』。地元熊野灘でとれた魚介類や採れたての野菜が並ぶマルシェやレストラン、ホテルを中心に「癒・ […]

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  • 世界に進展するプラントベース・ガストロノミーの行方=私たちが考える2050年の地球とは=

    10 世界に進展するプラントベース・ガストロノミーの行方=私たちが考える2050年の地球とは=

    杉浦仁志氏

    現在、2020年に入りコロナウイルスの影響で私たちの生活習慣は劇的に変化し、新たなフェーズに入った事を社会全体が体感しています。 それと重なり合うように、私たちの生存する地球においても温暖化という地球規模の社会問題が日常生活の中で感じられはじめています。 例えば、近年では当たり前となったゲリラ豪雨を始め、毎年のニュースで流れる過去最大規模の台風、漁獲量の減少と旬の変化、安定収穫できた野菜が不作で終わるなど、著しい変化が起こるようになりました。 それは、私たちの文明の発展とともに 生活が豊かになる中、知らず知らずのうちに相反して地球に対して大きなダメージを与えていたのかもしれません。 合わせて、これから世界的な人口爆発が予期される中、このままのライフスタイルで生活を続けていくと地球が二つ必要となる事も予想されています。 そのような状況下の中で、各国が様々なアイデアから環境問題の改善に向けこの […]

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  • グリーンジョブとしての料理人の役割の変化と日本の職業教育の役割

    8 グリーンジョブとしての料理人の役割の変化と日本の職業教育の役割

    尾藤 環氏

    国連では温室効果ガスの最大37%が、グローバル・フードシステム由来の排出に起因すると位置づけました。フードシステムの恩恵を享受している全ての人たちが地球の温暖化に関わっており、環境に「無関心」であった消費行動を見直し、十全的な知見をもって日常を改める必要があります。欧州は、ポスト・コロナの経済戦略にグリーン・リカバリーを掲げ「Farm to Fork(農場から⾷卓まで)戦略」を策定しました。日本も農林水産省が環境政策を打ち出しています。 そして、そこで重要になってくるのが消費者教育です。プロダクトアウトの経済戦略であることに変わらないものの、需要を生みだすことがカギとなります。環境への配慮を意識した消費行動へと変容させるために、欧州では初等教育から環境教育の義務化が進み、日本でも環境教育への取り組みが活発化してくるでしょう。消費者の十全的な視点の獲得によって「無関心」からの脱却を促すのです […]

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  • 世界で進展するフードデザイン思考

    6 世界で進展するフードデザイン思考

    バス・ヴァルクス氏

    オランダの夕飯の食卓に並ぶのは、ベーシックかつローカルな食材と、エキゾチックな香辛料を使った異国料理がまぜこぜになった献立です。これらの香辛料は、16世紀にオランダに入ってきて以来、オランダの食文化の一部となりました。また、地理的条件や貿易立国としての立場上、世界中の異なる文化圏から多くの人を迎え入れてきたオランダには、同時に新たな食文化がもたらされました。オランダ人はもともと、食に対して非常に実利主義的な姿勢をとってきました。食べ物には栄養が第一で、その形や見栄えにはあまりこだわってこなかったのです。オランダの農業は、単位面積当たりの収穫量が欧州で最も高く効率的で、昔ながらの手作業の農作と科学の融合により、質の高い農産物を生産しています。また、国土の4分の1が海面下にあり、経済的・文化的・政治的に要となる地域が堤防によって守られていることから、オランダ人は地球温暖化の影響にとても敏感です […]

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  • 自然と共生する日本の精神性と、食文化を通じた地球社会の未来への期待

    3 自然と共生する日本の精神性と、食文化を通じた地球社会の未来への期待

    音羽 悟氏

    伊勢神宮(以下神宮と表記)の恒例祭は年間1,500回にも及ぶが、神嘗祭を中心とする稲作文化を象徴したお祭りといわれている。この恒例祭に対して、20年に一度斎行される神宮式年遷宮は最大の厳儀とも称される。伊勢は、『万葉集』などに代表される古典の枕詞をかりれば「神風の伊勢」である。「かむかぜ」と読ませるこの語彙は、穏やかな気候風土にして、五穀豊穣に必要な適度な雨をもたらす優しい風を連想する、伊勢にぴったりの言葉だと思う。また『日本書紀』の垂仁天皇の御代に天照大御神はやまと倭ひめの姫みこと命に「この神風の伊勢の国は、遠く常世から波が幾重にも寄せては帰る国である」と仰せられたことから、太陽にも喩えられる天照大御神の御神徳を想起し、光、風、波が伊勢の自然を育む、自然と共生する神都伊勢のまちをイメージする、と私は勝手に考えている。 人間が社会生活を営む上で必要不可欠なものは、「衣食住」の三つである。1 […]

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